後進の養成は先輩の義務

医歯薬系の職業に従事している者の場合、特に医師などは大学の医学部を卒業し、付属の大学病院の勤務医として働くようになります。そしてある程度経験を積むと後進の養成という役割を担うことになります。後進の養成という仕事は医師であれ会社の管理職であれ一種の宿命のようなものです。あわただしい日常業務の中で投別に時間を割いて若い世代の指導に当たることは大変な労力を伴います。しかし、先達が身を削って伝授してくれた知識や経験を自家薬籠中のものとし、のちの世代に継承して行くことは当然の義務といえます。
大学病院の医師は外来で患者さんの診察に当たる傍ら、医学部で学生に向かって講義をしたり、実技を指導したりします。医局はタテ社会の意識の強いところなので、上手に立ち回ることも要求され神経をすり減らす場でもあります。サラリーマンにも上下関係があるように医師の世界にも上下関係がありもっと粘着質といえるでしょう。
また、大学病院においても中堅を迎えた医師は若い医師を一人前に仕立て上げる責務を負っています。マンツーマンの場合もあれば幾人かをまとめて面倒を見ることもあります。そしてこれまで培ってきた体験やノウハウを伝えて行くことになります。この場で自分が今まで行なってきたことを再認識し、治療法が最適だったか、反省すべき点はなかったかを改めて考えることと思います。医歯薬系の場では若い医師たちも現場での厳しい特訓を幾度も経ながら一人前の医師として成長し、新たな技術や治療法の発見に遭遇して行きます。